日本の国民を音楽著作権との関わりで分類すると
1)”利用料を支払うだけ”の国民(私など)
2)”利用料を払って受け取る”原権者(作詞作曲演奏家)
3)”利用料を受け取るだけ”の原権者(作詞作曲)
4)”分配を受け取って原権者に再分配する”(音楽出版社)
5)”徴収して分配する”(JASRAC)
上記の5つに分類できる。
圧倒的に数が多いのは1)”利用料を支払うだけ”の国民だ。今回の音楽教室も、ライブハウス経営者も、BGM利用店舗も1)だ。
1)の人達は、5)を通して2)3)4)の人達に著作利用料が分配還元されていると信じている。
たとえ1)が1,000円払った利用許諾料が、5)や4)の徴収代行~分配代行事務手数料として、相当な人件費がかかるとしても、せめて1%=10円だけでも原権者に分配されているものと信じている。
1)には、手数料や分配金額が全くわからない。5)や4)が決めた金額が原権者に分配されていると信じている。
だって、本当に信じる事しかできないのだから。
そのとき、5)や4)に関わる立場の人間は、現状1)が知りえない情報を持っているけれど、5)からも4)からも、何も説明もされず明示もされず、ただただ5)=JASRACが文化庁と決めた金額を支払うだけの1)の立場の人間が想像しながら言う事や書くこと、思うことや考えることについて、法律に詳しくなかったり、議論の論点を見極める力に乏しいからといって、馬鹿にするような思いや考えを持っているのだとしたら、1)の私たちはとても悲しい気持ちになる。
だって、本当に判らないのだから。
もし1)の多くの国民の言うことが、5)や4)の立場の人にとって、不都合であったり納得がいかなかったりするのであれば、1)の知りえなかった情報を自ら開示して、意思疎通を図ることがお互いの将来のためになるのではないだろうか?
だって、本当に教えてもらえないのだから。
知的財産法が、知的な財産を持つ者や、知的財産を管理する立場の者を守るためだけの”知的な法律”なのだとしたら、持たざるもを制限するためだけの法律でしかない。
本当にそんなものに根ざした著作権法であるならば、音楽文化発展に寄与できるはずなど無いだろう。
知的財産が、持たざるものを縛りつけたり利用させなかったり、盲目的に集金するための手段として利用するのではなく、国の文化の発展に寄与する使い方を本当にしたいのならば、知的財産がどのように利用されどのように原権者に還元されているのか? また、持たざるものが支払った対価が、知的財産をどのように支えているのか? 徴収と分配とそれに関わる手数料を明示することが、正しい知的財産の運用に繋がるのではないだろうか。
運営管理人: 河崎 覚